「混沌と秩序」──その名が意味するもの
到底日本酒の名称とは思えない「混沌と秩序」というコンセプチュアルなネーミングにも注目したい。ここには、TAKANOME代表・平野晟也氏の思いがあった。
今回の商品の名前には非常に悩んだ、としつつも「現代社会では心に『混沌』を抱えながらも一つ一つを乗り越えて『秩序』を生み出している人は多いのではないでしょうか。
世の中にはハレの日のお酒や商品、イベントが多いですが、 TAKANOMEはそんなふうに人間社会で葛藤しながらも、ケの日に必死に生きる人々の支えとして、またハレの日を祝うような存在でいたいと思っています。
今回、このように自分が感じていることをそのまま『混沌と秩序』という名前に落とし込みました」と語る。
TAKANOMEには様々な⾰新性が⾒られる。
彼らは『本物のうまさ』とは『スペックに捉われない味わい』との考えから、精⽶歩合⾮公開の道を選んだ。
また、原材料にも徹底的にこだわり、数ある酒米の中でも、大変優れた特徴から「酒米の王様」と呼ばれる、希少な酒米「山口県産山田錦」。
水は山の奥から涌き出て、数十年の年月をかけて自然がろ過した命の水「伏流水」を使用。
できあがった酒の味を確認し、TAKANOMEの味のレベルに達していないものは販売しないという徹底ぶりだ。これらは、「混沌と秩序」にも揺るがない精神として受け継がれている。
TAKANOMEをより熟成させたような風味
「混沌と秩序」への秘めたる熱い想いを知れば、当然味への期待も高まる。
先述した通り、一般的に火入れといわれる加熱殺菌を行うと、その香りやフレッシュな要素を損なう可能性があるが、うまさの高みを目指すTAKANOMEは、やはり常識を凌駕する。
鷹ノ目を絞ってから1週間ほど、味を落ち着かせて、瓶内火入れを行い、加熱後に急速に冷やす高度な火入れの技術を駆使。そうして誕生した酒は、芳醇な香りとフレッシュさを残しながら、熟したパイナップルのような香りと甘味と共に、まろやかな米のうまみが広がり、心地の良いアルコールが全体をまとめる。
この酒はTAKANOMEをも超える話題となるかもしれない。
すでに一部の会員には「混沌と秩序」の販売が行われており、早くもそのクォリティの高さがSNSで広がりはじめている。