BAMBOO MAGAZINE

 

FEATURE February 14, 2023

幻の酒TAKANOMEが手掛ける 新たな日本酒ブランド 「混沌と秩序」を紐解く

──あの「TAKANOME」が拓く新境地

日本酒業界に新風を吹かせている「TAKANOME」が手掛ける新たなブランドが登場した。その名を「混沌と秩序」という。 そもそも「TAKANOME」とは、うまさのみの追求というコンセプトで、一本15400円(税込)という高値にも関わらず、口コミで多くのファンを獲得している。毎週水曜日の発売のたびに、たった5分で完売してしまうことから幻の酒と称され、2019年の発売以来その勢いはとどまらず、いまだに入手困難な状況が続いている酒だ。 かくいう筆者も、TAKANOMEをSNSで知り、発売日に何度も挑戦した末に購入することができた。味わいは想像を超えるもので、それ以来、日本酒好きの知人はもちろん、そうでない人にこそ勧めている。だれが飲んでもうまさを感じられる酒と言えるからだ。 国内外の美食家たちに愛されるレストラン、プレゼンテ スギのオーナーシェフ杉岡憲敏氏も、「想像以上にきれいな味と香りで、ほかの食材の味わいも際立たせるお酒」とコメントしている。 そんなTAKANOMEが生み出した「混沌と秩序」とは、いったいどのような酒なのだろうか。

TAKANOMEから受け継いだ革新性

まず驚いたのは「混沌と秩序」は火入れをしているということ。 もともとの「TAKANOME」は無濾過生原酒と呼ばれるもので、一切の加熱処理を行わない非常に繊細な酒だ。温度変化により、味わいが変わりやすく、昔は酒蔵まで行かないと飲めないと言われたほど。 それを美味しい状態で届けるため、一般的な流通ではなく造ったものをすぐに酒蔵から配送するためにインターネット限定で販売している。それが「TAKANOME」の大きな“ウリ”でもあったはず。 そこに火入れをすれば、味を損なってしまう恐れもある。この点に筆者は大きな関心を抱いた。調べると、そこにはさらなるうまさの追求、そして世界に挑むTAKANOMEの姿があった。

常識を覆す酒の誕生背景

ご存じの方も多いかもしれないが「TAKANOME」は、2022年のカンヌ国際映画祭の期間中、フランスのJWマリオット・カンヌにて日本酒の提供を行った。 200名以上のセレブリティ、映画関係者、各国メディアに日本酒を振る舞い、その味わいで世界を驚かせることとなった。いまや、日本国内のみならず、世界からも注目を集める酒となったのだ。 しかし、これまでの繊細な酒では、安全が確保された流通でなければ配送ができない。そこで、高度な職人の火入の技術を考案。鷹ノ目の強みを生かしつつ、まろやかな米のうまみを引き出すことに成功したのだという。 ブランドの立ち上げから『日本酒を通して、日本の魅力を世界中に届けたい』との信念を持っているTAKANOMEが、世界へ躍進する1歩を踏み出したといえよう。

「混沌と秩序」──その名が意味するもの

到底日本酒の名称とは思えない「混沌と秩序」というコンセプチュアルなネーミングにも注目したい。ここには、TAKANOME代表・平野晟也氏の思いがあった。 今回の商品の名前には非常に悩んだ、としつつも「現代社会では心に『混沌』を抱えながらも一つ一つを乗り越えて『秩序』を生み出している人は多いのではないでしょうか。 世の中にはハレの日のお酒や商品、イベントが多いですが、 TAKANOMEはそんなふうに人間社会で葛藤しながらも、ケの日に必死に生きる人々の支えとして、またハレの日を祝うような存在でいたいと思っています。 今回、このように自分が感じていることをそのまま『混沌と秩序』という名前に落とし込みました」と語る。

TAKANOMEには様々な⾰新性が⾒られる。

彼らは『本物のうまさ』とは『スペックに捉われない味わい』との考えから、精⽶歩合⾮公開の道を選んだ。 また、原材料にも徹底的にこだわり、数ある酒米の中でも、大変優れた特徴から「酒米の王様」と呼ばれる、希少な酒米「山口県産山田錦」。 水は山の奥から涌き出て、数十年の年月をかけて自然がろ過した命の水「伏流水」を使用。 できあがった酒の味を確認し、TAKANOMEの味のレベルに達していないものは販売しないという徹底ぶりだ。これらは、「混沌と秩序」にも揺るがない精神として受け継がれている。

TAKANOMEをより熟成させたような風味

「混沌と秩序」への秘めたる熱い想いを知れば、当然味への期待も高まる。 先述した通り、一般的に火入れといわれる加熱殺菌を行うと、その香りやフレッシュな要素を損なう可能性があるが、うまさの高みを目指すTAKANOMEは、やはり常識を凌駕する。 鷹ノ目を絞ってから1週間ほど、味を落ち着かせて、瓶内火入れを行い、加熱後に急速に冷やす高度な火入れの技術を駆使。そうして誕生した酒は、芳醇な香りとフレッシュさを残しながら、熟したパイナップルのような香りと甘味と共に、まろやかな米のうまみが広がり、心地の良いアルコールが全体をまとめる。 この酒はTAKANOMEをも超える話題となるかもしれない。 すでに一部の会員には「混沌と秩序」の販売が行われており、早くもそのクォリティの高さがSNSで広がりはじめている。

実は友人がいち早く「混沌と秩序」を購入できたというので、飲ませてもらいました。 TAKANOMEのフレッシュさとはまた違った、落ち着いた上質な味わいでこれもまた素晴らしい。 アートの様な雰囲気のある化粧箱、ラベルも美しく、贈答品としても扱いやすく大切な人に送りたい。これをもらって嫌な顔をする人はいないはず。 TAKANOMEを飲んだ時に、そのおいしさに驚いたが、今度は火入れをしたということに、また違った意味で驚いた。日本酒そのもの以外でも楽しませてくれるのがTAKANOMEの良さだと思う。
完熟のパイナップルのような香りと甘さがとても心地よい。特別な日にも飲みたくなる、味わい深さでした。普段はあまり日本酒を飲まない友だちも、これは別格!と喜んで飲んでいました。 日本酒は和食とか魚に合わせるものと思い込んでいたけど、「混沌と秩序」は牛肉にも合う。ほかに何が合うのか、いろいろとペアリングも試して楽しみたい。

数量限定、インターネット抽選販売のみ

高度な火入れの技術を用いる「混沌と秩序」は少量しか生産されていない。 TAKANOMEと同様に、一般的な流通はしておらず、手に入れるにはインターネットでの抽選販売のみ。 現在、一般抽選を受け付けているので、込められた想いとともに、ぜひ「混沌と秩序」を味わってほしい。
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