コンセプトはうまさのみの追求
平野⽒が『うまさ』のみの追求というコンセプトを掲げたことには理由があった。
それは、
どれだけ職人がうまい日本酒を造っても、
『それがどこで売られているのかわからない。』
どれだけ職人がうまい日本酒作りたくても、
『精米歩合によって価値が決められてしまっては、面白いお酒を作れない。』
どれだけ日本酒がうまくても、
『価格に多様性がなければ、飲める場所が限られてしまう。』
どれだけうまい日本酒を作りたくても、
『給料が低いのであれば諦めざるおえない。』
どれだけ日本酒がうまくても、日本酒は世界に広まっていかない。
日本には、たくさんの酒蔵がうまい日本酒を造っている。しかし、酒蔵が消費者にそのうまさを届けられているかはまた別の話だ。
TAKANOMEは、製造から、流通、デザイン、食事とのペアリング、ブランド体験といった、口に運ぶその瞬間までをこだわり抜くからこそ、その『うまさ』に驚いた多く人の心を掴んで来たのだろう。
筆者は取材を通して、TAKANOMEがこれまでとは違った視点で日本酒を見ていることに驚いた。
TAKANOMEの革新性
日本酒は味わいの決める大きな要因として、原材料よりも、製造工程における技術が大きい。
これを、料理に例えると、同じ食材を使ってもプロと素人では味わいが違うように、日本酒も同じことがいえる。
TAKANOMEはもちろん最高の原材料を使うが、上記の理由から商品開発の軸を原材料や精米歩合のスペックではなく、職人の技術にフォーカスしている。
また、消費者にはスペックにとらわれることなく、TAKANOMEのうまさを感じてほしいとの思いから、異例となる精米歩合を非公開とした。
TAKANOMEの革新性は、価格や流通、デザインなどがあるが、それはぜひHPを⾒て欲しい。
新商品は滅多に出さない。TAKANOME
TAKANOMEはめったに新商品を出さない。
もしくは、ようやくの思いで出したとしても、すぐに販売を中止にする。
なぜならTAKANOMEの商品開発に非常に厳しいルールを設けているからだ。
最近では、そういった条件をくぐり抜けてきたのが、筆者が知る限り、海底熟成かもしれない。
伊豆の海に半年ほど沈め、その後の2年間の氷温熟成のうえで、ようやく販売された。
資金に限りのある、創業数年目の会社がやることではない。
まるで、好奇心のままに突き動かされているようなブランドである。
海底熟成を出してから、TAKANOMEは音沙汰がなかった。
次はどんなサプライズがあるのか?
TAKANOMEの情報をここ数年、収集している間に、いつの間にか筆者自身もTAKANOMEに魅力に取り憑かれてしまったようである。
普段からこのお酒を飲み始めたら、お金がいくらあっても足りない。。
ただ、普段はビールしか飲まない私でも、いつかは飲んでみたいと思わせてくれる。そんな日本酒は初めてかもしれない。
そんなことを思っていたら、突然メールが来た。
『TAKANOMEの新商品のリリースについて』
満を持して、新商品の発売。
毎回思う。TAKANOMEの商品はなんて美しいのだろうか。すべてが洗練されている。
HPを見ると、創業者である平野が世界中を周りながら感じた、あらゆるインスピレーションが元となり生まれたのだとか。
味わいは香港で。
デザインはパリで。
思想はベトナムで。
本気で世界に日本酒を広げることを目指しているからこそ、世界中を旅し、それぞれの国の文化にあった、日本酒の発信の方法を模索しているのだろう。
世界中でトヨタが走っているのを日本人として誇りに思うように、近い将来、TAKANOMEが世界中で飲まれていることを誇りに思う瞬間が、この新商品が見た瞬間、頭をよぎった。
まるでパイナップルのような味わい。
⼤きな期待を持って飲んだ筆者は、その期待を⼤きく超えた衝撃的な味わいだった。
まるでパイナップルのような⾹りと⽢みが⼝いっぱいに広がり、その後に爽やかな酸味が広がってくる。そして最後にキレのいいアルコールがとどめを刺す。
こんな⽇本酒飲んだことない。それが最初にでてくる⾔葉だった。
毎週5分で完売し『幻の酒』と呼ばれるのも納得である。
一般販売を開始。
『うまさのみを追求する』という強いを信念を持つTAKANOMEはSNSを中⼼に広がり、現在、販売開始して即完売という状態が続いている。
⼿作業による造りにこだわっているため、⽣産本数の⼤幅な増量が難しい部分があるとのこと。
これまで既存の会員を中心に販売していたが、この新商品である火入は、僅かではあるが、一般販売を開始したとのこと。
世界中から取り合いになるほどの、この1本をぜひこの機会に手に入れてみてはいかがだろうか?
PS. ラベルの裏に小さく書いてある本質を見極めれば、自ずと答えは見てくる』という言葉が書いてあった。TAKANOMEを知れば知るほど、この言葉がいかにこのブランドを表しているのかがわかってくる。